ポール・ジラー / プロバブル・コーズ L.A.連続警官殺人事件


購入場所:ビデオマーケット

マイコーッ!!っていえば君ならジャクソン?それともギラ派??あ、やっぱ富岡???でも映画ファンならここは「マイケル・アイアンサイドで(キリッ)」と答えたいところだよね。「シャイニング」時代のジャック・ニコルソンをひたすら地味にさせた佇まいは、まさに脇役(主に敵役)の鏡。そんなアイアンサイドが何と主役を張った映画を発見、しかも百円で観れる・・・となれば迷う余地ゼロ。さっそく購入&ビデオ観賞。物語は、謎の連続コップ・キラーを捜査するアイアンサイド刑事に新しく相棒が任命される。これがパツキンの女性刑事(ケイト・バーノン)と、セクハラ嫌疑保留中のアイアンサイドに問題アリアリな人材。しかも敏腕女性刑事というワリには何も活躍しないどころか、登場してすぐに重度の夢遊病カミングアウトとか犯人フラグ立ちまくりにビックリ。まさかここまで露骨に怪しいとさすがに犯人じゃないよねーと思うでしょ。でもダラダラと犠牲者が増えるとともに観てる側には不安が募る。アイアンサイドも彼女に疑惑マンマン、しかし姦る気もマンマン(ここぞという時に拒否られてたが)で、切迫感は伝わらず。正直、これがDVD化されることはない(何たってビデオ化もあのビデオ安売り王独占だし)だろうからネタバレするが、結論としてはコップ・キラーは彼女でした。動機は彼女が新人研修時代にレイプされた恨み(殺されたコップ共はそのレイプ犯)を夢遊病状態で晴らしてたってオチ。ラストはアイアンサイドが射殺された彼女の代わりに、最後のレイプ犯(アイアンサイドの同僚)を殺ってエンディングなんだが・・・地味、その一言につきる内容。まあ、2時間ドラマと思えば腹も立たないが、これ映画館で観てたら複雑だなぁ、日本未公開だけど。同じくアイアンサイドと本作監督ポール・ジラーでの作品に「コップ・キラー」(91)ってのがあるけど、こっちのほうが評判良さげで、機会があったらこっち観たいな。つーか映画「コップ・キラー」なら同名タイトルで81年PiLのジョン・ライドン主演の伊映画もあったっけ。と、いうわけで販売価格は百円!と言いたいところだったが、観終わってテープを巻き戻してる最中ノビノビのテープがデッキにからまりオジャン。よって0円!!

山元泰生 / 世田谷一家殺人事件の真相


購入場所:ブックオフ荻窪

前回取り上げた「斉藤寅 / 世田谷一家殺人事件ー侵入者たちの告白」が世間で結構な評判になったため、そのアンサー本?という感じで半年後2007年に出版された一冊。
作者の山元氏、とにかく斉藤寅本がお気に召さないらしく、「ここが違う」「これは考えられない」「妄想」と細部に渡り検証、ときに「いい加減なことを書くな!」などと激高しつつ、本書の約半分のページをdisることに消費。ついには「(警察でもない、一介のジャーナリストである)斉藤氏や私ごときが”真犯人を割り出す”などということは、宝くじにでも当たるときのように、よほどの幸運にでも恵まれないかぎりありえないのである」と、INU時代の町田町蔵ばりに自らの存在までを頭から否定!!じゃあこの本は何なのよ?と問いただしたいトコロだが、肝心の事件に対する山元氏の説明が面白すぎるのでついついそんな疑問も忘れてしまう。
まず犯人、斉藤本「韓国人Hを主犯としたアジア系クリミナル・グループ」に対して、山元氏はズバリ「スケートボードを趣味とする孤独な若者の単独犯」と推理。それも「犯行現場で長時間滞在していた犯人が、被害者宅の冷蔵庫などを物色した際、アイスクリームを食べ、ビールには手をつけてなく、またタバコを吸った形跡もないことから」まだ酒やタバコの味を知らない未成年の可能性が高い・・・と。え〜っと、マジっすか?
また、犯行動機も「ご近所関係などのささいなトラブルが知らず知らずのうちに怨恨を増幅させたモノ」と推理。確かに人はいつどこから他人の恨みを買うかはわからないもの。その恐ろしさを山元氏は本書で3回も繰り返し力説している。問題は「トラブル」の原因と考えられる例として、3回とも「被害者から立ちションを注意されてたとしたら・・・」をシュミレートしている点。いやいや、昭和の下町じゃあるまいし立ちションで注意って!!!
と、まあいちいちツッコミをいれてたらそれだけで自分も本が一冊出来てしまう程に面白い内容。真相に近づいたのか、それとも遠のいたかは未だ不明だが、ジャーナリズムとは何か?を変則的な角度から考えさせられること間違いなし。でも300円以上は出したくないなぁ。
最後にこの事件についての自分の見解をひとつ。
犯人が本当にスケボー小僧だったら、あんなダサい韓国製テニスシューズなんか死んでも履かないよね。

斉藤寅 / 世田谷一家殺人事件ー侵入者たちの告白

購入場所:ブックオフ荻窪

2000年12月30日に発生した世田谷一家殺人事件。法改正により本件の時効は廃止されたものの、迷宮入りは逃れられそうもないこのヤマ(現在懸賞金1,000万円)に、何とジャーナリスト側から「犯人特定!」をセンショーナルにアピールしまくった2006年発表本。警察組織の動脈硬化っぷりを痛烈に批判しつつ、作者自らが現場警察から闇社会の重要人物まで、まさに「体を張った」(ここら辺の武勇伝もウザいくらい描写)突撃取材にて犯人を割り出した勇猛果敢にもホドがある一冊。何せ取材途中には事件のホンボシである「アジア系クリミナル組織」とカーチェイスを繰り広げたり、重要証人となるハズだった人物が溺死体(!!!)となって発見されたりと、このまんま土曜ワイド劇場でドラマ化してもイケるドラマチック具合。で、本書では実行犯は「ソウル在住の韓国人H」と断言してる訳なんだけど、驚くべきことにこの見解に、本書発売2週刊後に警視庁が「今後の捜査に悪影響を及ぼす」と猛烈クレームを世間に発表。こんなのトンデモ本って無視してりゃいいじゃん・・・のハズが、余計な国家権力の圧力誇示のせいで「ひょっとして当たってるトコあるのかも?」と俺なんかは逆に勘ぐってしまうじゃん。まあ信憑性はともかく、読み物としては手ごたえありますよ。でもここまで犯人特定しといて、その後作者の活動がなしのつぶてって誠意なさすぎ・・・。よって現在販売価格はやっぱ百円。ところが、本書の波紋は思わぬところで爆発していた(続く)

SHINJUKU THIEF / THE WITCH HUNTER

購入場所:ディスクユニオン新宿本館

前回ループオーケストラ同様、ユニオン叩き売りアヴァンギャルドコーナーからの発掘もん。いやー、これはシブいわ・・・のシンジュク・シーフ1995年作品。アーティスト名は間違いなく大島渚映画「新宿泥棒日記」から拝借したであろう、ダリン・ヴァーハーゲンのソロ・プロジェクト。92年より地元オーストラリアで活動開始。初期はクールな電子アンビエント作風にてムスリムガーゼやオ・ユキ・コンジュゲートなどと比較されていたモンだった・・・が、3rdあたりからチェンバー路線に突入。4thにあたる本作ではすっかり重厚なオーケストラル暗黒アンビエント世界を確立している。いやー、白人って本当ダークなモン好きだよねー。未だゴスのイヴェントとか何万人規模で継続してるしねー。でも日本だとこのテのモンってマジ売れないんだよな〜。ゴスもゴスロリになっちゃうお国柄だもの。かと言ってチェンバーだからプログレ・ファンが買ってくれるかとなると、ドラマ性の欠如から無理と判断。アンビエントでアピールするにはアグレッシブすぎるし・・・結局俺がまだバイヤーだったら「ダーク・トリップがうんちゃら・・・」とデス・インダストリアル好きやブラック・メタル・マニアなどに販促かける感じか。それでも厳しいけど。決してクオリティは低くないどころか、傑作とさえ呼べる内容だけに残念。販売価格は800円也。

THE LOOP ORCHESTRA / NOT OVERTLY ORCHESTRAL

購入場所:ディスクユニオン新宿本館

過去のオリジナルLPが高価で取引されてるからといって、そのアーティストの新作がバカスカ売れるかといえばさにあらず。そもそもそのオリジナルだって、当時売れてたら中古市場で高価になる訳もなく、そこらへん読み間違えて痛い目にあうバイヤーは多い・・・って昔の俺じゃん!で、そんなマイノリティ向けアイテムの売れ残り在庫のやっかい度数はハンパなく、会社の決算前などは、映画「鬼畜」で実の息子に毒入りジャムパンを無理やり食わせる緒方拳の気分で特価コーナー処分をかけるモン。あぁ、思い出しただけで気分が滅入る。だがそんなCD墓場でせっせと墓掘り作業に勤しむ輩は昔からいやがって、バイヤー時代は「このハイエナがぁ!!」と輩共にKILLな眼差しをたれてた自分、しかし今やミイラ取りがミイラに。自らが百円王(ヒャッキング)道という名の外道を歩もうとはまさに皮肉!!で、話はループ・オーケストラ。このブツも百円特価CD墓場で自縛霊よろしくたたずんでいたヤツを発掘。オーストラリアにて1982年から活動を続けるアヴァンギャルド・グループで、現在も地道に活動継続中、なのに本作は2004年リリース作にして3rdというマイペースっぷり。グループ名まんま、複数のオープン・リールのテープのみを演奏に使用。ひたすらテープをループさせたり、即興でテープをチョキチョキ切り張りしたりと、サンプラー使えばいいんじゃね?な作業をあくまでアナログにこだる意固地さが素晴らしい。初期ナース・ウィズ・ウーンドのコラージュ作品を、ミニマル&地味にしたような心地よさ。彼らの限定500枚でリリースされた1stなど未だ5千円以上で取引されてることを考えても、中古販売価格1600円はイケルはず。もう本CDも廃盤だしね。

室賀厚 / JUNK死霊狩り

購入場所:ブックオフ阿佐ヶ谷


「体力A級!知能C級!撃った弾丸3000発!」の謳い文句で96年にVシネ・ファンを熱狂させた「SCORE」(劇場公開作品だけど)の室賀厚99年作品。プロットはほとんど「SCORE」と変化なし、「SCORE」のギャング間でのドタバタにゾンビをプラスしたニコイチ的内容。俳優陣も(当初は無名だったとはいえ)小沢仁志、小沢和義宇梶剛士だった「SCORE」に比較し、嶋村かおり、江原修&岸本祐二とマニア度数高すぎ!しかしVシネ的にはアレかもだけど、ことゾンビ映画としては意外なクオリティにビックリ。在日米軍が沖縄の廃工場でこっそりゾンビ実験してたが(お約束で)失敗、よりによってその廃工場でギャングとヤクザが闇取引・・・(これもお約束で)裏切り&抗争に発展、そこにゾンビの大群が・・・というドリフ並にわかりやすいストーリー。で、「SCORE」がタランティーノの「レザボアドックス」の露骨なパクリだったのに対して、こちらは何と、心あるゾンビ・マニアからは駄作の烙印押されまくりのルチオ・フルチサンゲリア2」からのパクリじゃないですか。ゾンビ・メイクもフルチ使用で蛆虫付きのサービスっぷり。邦画のゾンビもんはヒドいのが多いけど、これは文句なしに合格点でしょう。とくに「サンゲリア2」のモンド感を楽しめる人は必観と断言!さすがにDVDは出てないと思いきや、同じく室賀厚監督の「地雷撤去隊THE GROUND」とニコイチでDVD化されててこれまたビックリ。でもそれも既に廃盤らしく、プレミアついてました。だからこのVHSも貴重、売値3千円くらいはイケるハズ。

ジョン・カーペンター / ゴースト・オブ・マーズ

tamotsumochida2007-12-29

購入場所:ノーサイド井荻店
ジョン・カーペンターといえば、高校生の時に授業をサボって(RCサクセション風)友人の部屋で「遊星からの物体X」をビデオで観たショックを今も忘れられません。「うえ〜、このスプラッター・シーンってどうやって映してんの?」って(当時にしては)斬新さと、(当時にしても)ミョーに古臭いストーリー展開(まあ、そもそもリメイクもん映画だって点を差し引いてもね)のミスマッチ感がツボで、友人の迷惑も顧みずレンタル返却まで3回も観ちゃいました。(当時、我が家にはビデオがなかった)で、何だかんだで「ハロウィン」やら「ニューヨーク1997」やら「ゼイリブ」やら観てて「あれ?気がつくとみんな同じ監督じゃん」って存在がカーペンターだったと・・・。まあ熱心なカーペンター・ファンとは言えないが、ビデオ屋で何借りようか迷ったときはカーペンターって年月を過ごしましたね、ええ。なんで百円でカーペンター作品が販売されてりゃ、そりゃ買いますよ。無条件ですよ、そんなもん。しかし「エスケープ・フロムLA」のヒットにもかかわらず、最近じゃすっかり「過去の人」扱いのカーペンター。この作品も「古臭い」の酷評が目立ちますし、「要塞警察」以降の相変わらずなカーペンター西部劇の「ゴアSF編」ではあります。でもそれ以上の何をカーペンター映画に望む?アイス・キューブナターシャ・ヘンストリッジ(そもそもはホールのコートニー・ラブの予定だったらしいが、それはそれでビミョー)の主役2人の異様な薄味っぷりや、怨霊火星人ボスキャラの「パンプアップしたマリリンマンソン」なルックスとはうらはらの活躍不足もご愛敬。要はこのドロドロ泥臭いカーペンター美学を受け入れるか否か?これが「過去の作品」なら「未来の作品」って何だよコノヤロー!と評論家の方々の胸ぐらをつかむ勢いで購入したビデオ。それが「ゴースト・オブ・マーズ」だったな。(百円だけどね)