山元泰生 / 世田谷一家殺人事件の真相


購入場所:ブックオフ荻窪

前回取り上げた「斉藤寅 / 世田谷一家殺人事件ー侵入者たちの告白」が世間で結構な評判になったため、そのアンサー本?という感じで半年後2007年に出版された一冊。
作者の山元氏、とにかく斉藤寅本がお気に召さないらしく、「ここが違う」「これは考えられない」「妄想」と細部に渡り検証、ときに「いい加減なことを書くな!」などと激高しつつ、本書の約半分のページをdisることに消費。ついには「(警察でもない、一介のジャーナリストである)斉藤氏や私ごときが”真犯人を割り出す”などということは、宝くじにでも当たるときのように、よほどの幸運にでも恵まれないかぎりありえないのである」と、INU時代の町田町蔵ばりに自らの存在までを頭から否定!!じゃあこの本は何なのよ?と問いただしたいトコロだが、肝心の事件に対する山元氏の説明が面白すぎるのでついついそんな疑問も忘れてしまう。
まず犯人、斉藤本「韓国人Hを主犯としたアジア系クリミナル・グループ」に対して、山元氏はズバリ「スケートボードを趣味とする孤独な若者の単独犯」と推理。それも「犯行現場で長時間滞在していた犯人が、被害者宅の冷蔵庫などを物色した際、アイスクリームを食べ、ビールには手をつけてなく、またタバコを吸った形跡もないことから」まだ酒やタバコの味を知らない未成年の可能性が高い・・・と。え〜っと、マジっすか?
また、犯行動機も「ご近所関係などのささいなトラブルが知らず知らずのうちに怨恨を増幅させたモノ」と推理。確かに人はいつどこから他人の恨みを買うかはわからないもの。その恐ろしさを山元氏は本書で3回も繰り返し力説している。問題は「トラブル」の原因と考えられる例として、3回とも「被害者から立ちションを注意されてたとしたら・・・」をシュミレートしている点。いやいや、昭和の下町じゃあるまいし立ちションで注意って!!!
と、まあいちいちツッコミをいれてたらそれだけで自分も本が一冊出来てしまう程に面白い内容。真相に近づいたのか、それとも遠のいたかは未だ不明だが、ジャーナリズムとは何か?を変則的な角度から考えさせられること間違いなし。でも300円以上は出したくないなぁ。
最後にこの事件についての自分の見解をひとつ。
犯人が本当にスケボー小僧だったら、あんなダサい韓国製テニスシューズなんか死んでも履かないよね。